佐賀に移住して1カ月、良かったことランキングを書いてみた。

 この記事は、すごいよ佐賀県のアカウントで2017年4月26日に配信した記事を新ドメインに移転したものです。その節はたくさんのいいね!を誠にありがとうございました。2018年の3月に迎える移住1年の続報は、改めてこちらのブログに掲載させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

こんにちは。2017年3月、東京から佐賀へ、家族4人で移住してきたフリーランスライターの「いわ」です。最近は「佐賀ライター」を名乗っています。

移住1カ月というちょうど良いタイミングを迎えましたので、今日は、佐賀で良かった、佐賀のこんなところが好きだ、佐賀に来たけど案外大丈夫だ、と感じているところを、ランキング形式でご紹介していきます。

あくまでも個人の感想ですが、結論を言うと、フリ ーランスの人は今すぐ佐賀に移住すべきだと思います。メリット対デメリットを考えるとほとんど得しかない。 あるいはフリーランスじゃなくても、転職しようか なー住む場所を変えようかなーとか考えている人だったら、「いや〜佐賀は本当に素晴らしいですよ、この際に思い切って佐賀に来るのはどうですか」と膝付き合わせてお酒を飲ませて説得したい。それくらい佐賀ファンになっている私の声だということで、強力なバイアスがかかっている前提でお読みください。

それでは、いってみましょう!

【10位:案外、東京が近い】

せっかく佐賀に来ていきなりそれかと思われるかもしれませんが、ぜひこれは最初にお伝えしておきたいのでスミマセン。

東京が近い、その理由は、LCC(格安航空券)です。佐賀空港 – 成田空港間だと、春秋航空で片道大体7,000 – 9,000円くらい。最安キャンペーン中だと片道737円です(桁間違いではありません)。また、福岡空港や長崎空港から羽田空港への航路も、片道10,000円弱で確保できます。※お値段は季節要因などによって変動します。

住む場所を決めるまでに、東京と佐賀を何往復もしましたが、LCCにはかなり助けられました。そして、こんなに安いなら移住の後も気軽に往復できるな〜と思いました。佐賀に興味のある方も、ない方も、ぜひ、ふらっと来てほしいな~。ほんと、安いから。居酒屋で飲むくらいの値段で来れちゃうから。なんなら雲の上で飲むビールも最高だから。

私は自営業で仕事の大半を東京またはその周辺県でいただいている人間ですが、月に1-2回ほど、1滞在あたり3-5日くらいに打ち合わせや取材や東京の友人との飲み会を詰め込むようにすれば充分やっていけるなと、そういう手応えを感じています。あと、メールやスカイプの恩恵は大きいです。心配していた通信回線も、光が通っているところもあるしそうでなければケーブルテレビが入っているので特に問題なさそう。

【9位:土地が安い】

東京と行き来する飛行機代がかかっても、それくらいなら土地の安さ、で充分お釣りが帰ってきます。私の場合、土地を50坪購入したら150坪の山林がオマケでついてきました。と言うと東京の人には「そんなオマケあるかい何言ってんだコイツ」みたいな顔をされますが、実際、山林には栗やみかんが実り、春には山桜が咲き、立派なタケノコやワラビも生えてきています。

もともと、東京を出ようと思ったきっかけは東京から東京の転居先を探していた際、「せっかく高い金を出しても1部屋増えるくらいの変化ではつまらな い」と感じたことでした。それが、庭だけじゃなく、山林がついて、季節ごとの山の恵みを楽しめるのですから、大分おもしろい選択ができたと思っています。

ちなみに、佐賀県の住居の広さは日本全国で5位、九州で1位だそうです。小学校やスーパーが遠かったり、下水が通っていない地域などは、家賃1万円で1軒家とか、数十万円で50坪の土地もありましたから、ちょっと興味を持った人が試しに住んでみる、みたいなこともしやすいかなーと思いました。

【8位:魚が安い】

近所のスーパーで近海産のとれとれの鯛が2尾で400円とか。ブリが1本600円とか。いずれも家族4人では食べきれないサイズのお魚が、驚愕の値段で売っています。我が家はもう喜んじゃって1週間に2-3回は鯛を食べていて、昨日の妻と2人の何の日でもない昼食も鯛めしでした。北に玄界灘、南に有明海と、豊かな海に挟まれた佐賀ならではの恩恵なのかな、と思います。

東京に住んでいた頃はおかずと言えば肉料理が中心でしたが、我が家は移住1カ月ですっかり魚党に鞍替えしています。あと、野菜も安いです。大体のスーパーに「近所の農家さんが持って来た野菜コーナー」があって、ヘタしたら他の地域産の半分くらいの価格でサイズは倍とか。葉物の葉の厚さが今まで見たことないくらいポッテリしていたり。さらに、九州にしては珍しく日本酒の酒造が多く(稲作の盛んな地域だから)、日本酒と焼酎の両方を楽しめます。つまり、食は本当に豊かです。

【7位:意外に美味しい外食のお店がある】

東京と言ったら世界中から美食の集まった街ですから「外食」に限れば佐賀の田舎は分が悪いかなと思っていたのは今は昔。オシャレなカフェもイタリアンもあるし、焼肉はA4-5ランクの佐賀牛とか伊万里牛だし、もちろん居酒屋の魚は新鮮だし、価格設定が東京の8割以下でボリュームは1.5倍だったりするし、普通に素材が良いわけだから、悪くないどころかむしろ最高です。

唯一の悩みは、ラーメンといえば豚骨なところ。豚骨ラーメンは大好きですが、醤油や塩の名店もご存知の方がいたら、教えてください。

【6位:混んでない】

数週間ぶりに東京に帰って感じたのが、人の圧迫感。通勤電車のギュウ詰めは当然のこと、新宿で久々に飲みますかーって出かけたら普通に歩道がディズニーの人気アトラクション待ち並の大渋滞。こりゃキツイなーって思いました。花見とか、花火とか、なんとかフェスの時なんかは、それこそもう足の踏み場もなくなるわけですよね。

一方、佐賀での休日に桜の名所を巡ってみたのですが、宴会のブルーシートもなく、地元の人が穏やかに「我らが町のよか景色」を楽しんでいる感じがして、まぁどこも大して混み合わずにのどかなんです よ。観光名所の美しさ、素晴らしさを、せかせか焦らされずに楽しめるし、写真もじっくり撮れる。それが本当に清々しい。(観光地の方々はもっとたくさんの人に来てほしいと思っているかもしれませんが…)

また、田舎ならではなんですが、視界に近代的な建造物(背の高いビルや電柱など)が入ってこない、というのがですね、思いの外すごく素晴らしいですね。景色に没入できると言いますか。だからかなんだか、「外に出かけたら疲れちゃうわー消耗するわー」みたいなインドア派だった我が家も、「せっかく佐賀に来たんだから良い景色でも…」と、外出したくなる日が増えました。

【5位:歴史が熱い】

佐賀というと地味とか何もないとかすぐ言っちゃう人は県内にも県外にも多いと思うのですが、いやいや歴史的にはすごく、ものすごく熱い地域ですよここは。地味とかとんでもない。

古くは始皇帝の命令で中国から不老不死の薬を探しに来た人がいたり、卑弥呼様が住んでいたり(かもしれない…)、織田信長のように急成長した後に今川義元のように大敗して命を落としたドラマチックな戦国大名・龍造寺隆信がいたり、豊臣秀吉が朝鮮出兵するための拠点とした名護屋城(名古屋城ではない)は当時国内最大規模の城だったり、日本全国で最初に産業革命を成し遂げた佐賀藩は幕末最強だったり…他にもたっくさんドラマがあって、歴史好きな私からするとむしろ国内有数のネタの宝庫。なんで大河をやらないんだ(怒)。もちろんそうした歴史の名跡もそこかしこにあって、私のイチオシは天守跡から玄界灘を一望できる絶景の名護屋城です。

【4位:人が優しく、前向きでエネルギッシュ】

住むところを探すとき、県内のいろんなところを巡りましたが、どこへ行っても知らない人、会ったこともない子どもから「こんにちは!」と声をかけてもらって、あぁなんてあったかいところなんだろうと感動したのを覚えています。その後も、不動産屋さん、建築会社さん、Twitterで知り合った方、飲み会で同席した方、スーパーやコンビニや飲食店の店員さん、歯医者さん、娘たちの学校の先生……誰に会って話をしてもまだ嫌な思いをしたことがありません。みなさん、佐賀弁をしゃべれない自分にも嫌な顔ひとつせず、本当に親切に接してくださいます。結構な田舎の地域に引っ越して来ましたが、移住あるあるで聞くような「よそ者に冷たい」雰囲気は感じたことがないです。

ネットで調べた限りでは佐賀の県民性は、セコイとか、偉そうとか、マナーが悪いとか、言っている人もいましたが、「嘘だろ?」と思います。そんなバカな、と心から思います。むしろ逆。もてなし好きで、謙虚で、親切です。

それと、乙なものが好きというのがある気がしてい ます。アニメとコラボしたり、アニメとコラボしたり、ゲームとコラボしたり、ゲームとコラボしたり、ムツゴロウとシオマネキを戦わせたり、東京にガタバーを開いてみたり、幕末の栄光をラップで歌ってみたり。こういうのを県とか市とかが先頭に立って企画したり楽しんでいる雰囲気がですね、なんだかすごく豊かというか洒脱というか、「田舎くささ」をまったく感じさせません。知り合った個人個人にも、新しいことをやってみよう、楽しいことをやってみよう、という前向きな雰囲気、エネルギーをすごく感じて、さすが幕末最強の佐賀だな、と。佐賀の本当の県民性は歴史が示しているな、と思いました。

【3位:移住しただけで新聞に取り上げてもらった】

移住した!というその事実はなかなか強力なコンテンツのようで、移住前に1回、佐賀県内のウェブメディアさん に取り上げていただいたことがあり、移住後3週間ほどで、今度は西日本新聞さんから取材記事を掲載していただきました。名目としては、 Twitterアカウントでの「佐賀県のすごいところを紹介する」という活動を認めていただいたカタチですが、とはいえまだフォロワー数も1,000に満たないくらいだし影響力でいえば微々たる存在ですから、過分な扱いと言いますか、引越し祝いをいただいたようなものと言いますか、これから地道に頑張って、本当に佐賀に貢献できるような活動を考えていきたいと考える所存です。

また、佐賀に移住したと言うと誰からも驚かれるのも痛快です。みなさん佐賀をマイナーな、何もない県と思ってらっしゃいますし地味な県ランキングではワースト1-2位だったりするので「何を好き好んで佐賀へ」という顔をされるのですが、実際は日本一、日本初、日本唯一のことがいっぱいあって、話題の宝庫ですからね(詳しくはTwitterアカウントをご覧ください)。だから会話のネタに困らなくなったと言いますか「いやいや佐賀はこんなに素晴らしいですよ」とギャップを埋める会話がですね、楽し いですし、県内の方々にはとても歓迎してもらえて嬉しいです。

【2位:オンリーワンのライターになれたかもしれない】

自身のキャリアとしても、移住したその事実が大きくプラスになったことを感じています。東京のライターならいくらでもいるけど、佐賀に移住したライターはググった限りでは私だけ。東京では1,000人の中の1人だったけど佐賀ではオンリー1。私というライターの中身が変わったわけではないのに、ただ引っ越しただけで独自のポジションを獲得できちゃったかもしれない。これはビジネスを差別化するという意味で、ものっすごいコストパフォーマンスが良い選択だったと思っています。

1つのことに熟達するには1万時間が必要、と「1万 時間の法則」を提唱したのはアメリカのジャーナリスト、マルコム・グラッドウェル氏ですがじゃあ 「ライター」を1万時間やって来た自分が次の技能を身につけるのにたとえば「デザイナーもできる」や「イラストも描ける」を1万時間かけて習得しなければと考えたらそれは非常にしんどいことで、しかし移住だったらただ引っ越すだけで「そこに1万時間住んでいる事実」を獲得できるんだからお得以外の何物でもないなと。ただの「ライターです」と自己紹介するより、「佐賀の」「ライターです」と言えた方が、絶対おもしろいわけです。「デザイナーもできる」「ライターです」と、多分同じくらいおもしろい。

たとえばですが、こういうことは他の仕事でも言えることであって、東京ならヨルダン料理店は100軒あるかもしれないけど佐賀ならオンリーワンの1軒になれるかもしれない。東京なら本当に美味しい醤油ラーメン店は1000軒あるかもしれないけど佐賀ならナンバーワンにずっと近いかもしれない。これは佐賀には何もないと言いたいわけじゃなくて、逆に東京みたいな異常なくらい何でもあるところで狭い視野の中で凌ぎを削るのではなくて東京の外、ちょっと田舎なくらいのところから俯瞰して見た方が物事がうまく回ることってあるかもよ、という感覚です。何でもかんでも東京がナンバーワンでオンリーワンなわけではないという事実は、実際に東京の外に住んでみるまでは腑に落ちていませんでした。

そうは言っても私自身、まだ引っ越して来た「だけ」なので、最低でも1万時間はここに留まって、表面的に「ただ来ただけ」で終わらず中身を伴う活動にて佐賀に貢献していきたいと考える次第です。

【1位:子どもたちがゴキゲン】

やっぱり家族で移住して来たのだから、これが一番大事なことですね。家の外はすぐ景色が美しいので、仕事の合間に「ちょっと散歩しようか」と言えることが増えましたし、休日には必ず家族でお出かけするようになりました。隣家と密着していた時と違って「お隣さんに迷惑だから大きな声を出さないで」と注意することもなくなりましたし、嫌いだった食べ物も「本当は美味しいんだ」と気づいておかわりできるようになりました。

移住のタイミングで小学校に上がる長女はどちらかというと引っ込み思案な性格で、急に言葉が違う佐賀に引っ越して来たら友だちと馴染めず苦労するかな〜とも思ったのですが、それは全然杞憂で毎日ゴキゲンです。親が「良かったことランキング」に上げた佐賀の良さを、子どもたちも同じように感じてくれているのだと思います。あと、親がゴキゲンだから子もゴキゲン。それはそうでしょう。

以上、東京から佐賀へ家族4人で移住してきたライターの、移住してきて「良かったことランキング」 でした。

このレポートは、「よし、佐賀に住もう!」と決意してくれる人を増やしたい目的で書いてみました。一緒に住んでみませんか、そして、一緒に酒を飲みましょう。

佐賀県にすでに住んでいる先輩の方々、こういう家族ですが、どうぞ仲良くしてやってください。そして、私たち家族がお力になれることがありそうでしたら、ご遠慮なくお気軽に、声をかけていただけますと幸いです。


WHO AREこの記事を書いた人。

佐賀県のライター/メディアプランナーです。2017年3月、東京から移住してきました!